夢幻喫茶の座談帳

夢香「ここは竜崎飛鳥さんが気紛れに再開し始めたなりきりブログ? ってやつだよ」

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いいえ、貴方はとんでもない物を用意し忘れている。

  1. 2012/08/31(金) 08:09:39_
  2. イベント情報
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 イベントでのお釣り用小銭です。


 どうも、某とっつぁんな声で再生していただきたい竜崎です(笑)


 そう、すっかり忘れてたんですけどコミティアのお釣り用小銭を用意してない事に、昨日漸く気付きました……orz

 ちくしょー、後は新刊の値札だけだと思ってたのに、思わぬデカい落とし穴さ……。


 小銭は何とか今日明日で工面するとして、後は……大丈夫かな?




 以前もアナウンスしたのですが、もう一度イベントアナウンスをば。


<COMITIA 101 情報>

 ・サークル名:満月堂出張所~♪

 ・サークルナンバー:て14b

 ・場所:東京ビッグサイト

 ・新刊その1

 【人魚に恋した魔法使い】

 竜崎流、もしも童話シリーズ第一弾!!

 原作では、人魚姫の声を奪った悪い魔女。それが、もしも人魚姫に恋をした純朴な少年だったら……?

 そんな『もしも』な要素を含んだ人魚姫が辿り着く終焉は、悲恋か、それとも――。


 【偽悪主義な狼さんと、赤ずきんだったおばあさん】

 竜崎流、もしも童話シリーズ第二弾!!

 原作では、赤ずきんをたぶらかしおばあさんを食べてしまった悪い狼。そんな彼が、もしも若かりし頃のおばあさんと恋仲になったら……。

 そんな『もしも』な要素を含んだ赤ずきんは、そしておばあさんは、無事に狼の毒牙から逃れられるのか――。


 両者ともブログ、小説家になろうにてサンプルを載せていますので、興味を持たれた方は是非!!

 既刊は『片翼の歌姫たち』、『真白と紅』、『天ノ弱ナ娘タチ』、『烏と蘭と、鬼と龍と』を持参予定です!!


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それってなんか違うんじゃ?(攻撃的な記事に付、要注意)

  1. 2012/08/30(木) 08:11:40_
  2. 通常日記
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 タイトルにも書いてありますが、物凄く攻撃的な記事となっています。正直、読んでいて面白くもなんともない、むしろ不愉快になる可能性が高いです。

 かなり下の方に文章を下げておいたので、読まれる方は自己責任でお願いいたします。

 読まれた後の苦情は一切受け付けませんので、ご了承ください。

























































 今朝、とあるニュース番組で就職に関する話題が取り上げられた時。

 キャスターの一人が、「(安定した職に就けていない人は)環境や周りのせいにしている傾向がある。それじゃ駄目なんだ、そんな考えなんだから職に就けないんだ」みたいなニュアンスの事を言っていました。


 ……朝からものっそい不愉快です。

 や、確かにその傾向はあるでしょう。けどね、100%その人が悪いの? 職に就けないのは、完全に自分以外の事に責任転嫁してるから?

 違うでしょ!? その人の責任転嫁も原因の一つではあるだろうけど、けど「環境や周りのせいで職に就きたくても就けない」っていうのも原因の一つでしょ!? なんでその人のせいにだけするの!?

 じゃあ何? バブル時代は職に就けない人がいたとでもいうの? 違うでしょ!? むしろ企業が手招きして、就職活動者はえらびたい放題だったんでしょ!? それもこれも、景気が良かったからでしょ!?

 今は何? 不景気だからやれ雇用問題だ給料問題だって、問題てんこもりな訳じゃないですか!! それだから就職活動者のボルテージも下がるんじゃないですか!! 問題てんこ盛りなのは何? その人のせいなの? 違うでしょ!? 今の日本の経済が悪いんでしょ!! 一方的に「その人だけのせい」って決めつけるなッ!!


 何が言いたいのかと言うと、色々な要因が合わさって問題が起きているというのに、その一点だけが原因と決めつけられたのがものすごく不愉快だっていう事です。



我等姉妹はクリエイター!!

  1. 2012/08/29(水) 08:04:24_
  2. 通常日記
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 のタマゴでございます(笑)


 ん? パティシエってクリエイターに含まれるのかな?


 んー……創作する事には変わりないから、クリエイターか!!


 そう、竜崎姉妹は、二人そろって夢(というか目標?)はクリエイターという、とことん変わった道を進む姉妹なのです(苦笑)

 姉たる自分は勿論、小説家志望者(どうでもいいが『死亡者』と一発変換するのはやめてくれ;)

 対する妹の夢は、パティシエさん……らしい;


 や、らしいって表現したのは、どーもわからないんですよね;

 前からパティシエになりたいって言ってるけど、あんまりお菓子とか作らないし(まぁ大学の課題や試験でそれどころじゃないのもありますが)。一度それとなーくもう一度聞いてみようかな?


 だって、たった一人の、(腐った方面の(笑))趣味も結構合う可愛い妹ですもん。俺の安月給で何とかなるなら、お店やるんだとしたら工面して資金援助だってしてあげたいし。


 まぁ、妹の夢もそうですが、まずは自分、ですよね!!


 さって、今日もがむばりますか!!



やる事いっぱい。

  1. 2012/08/28(火) 12:10:56_
  2. 通常日記
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 や、本来なら朝に昨日ついったでも呟いた「羨ましい作者さん」の話を書こうと思ったのですが……。


 はい、仕事にしっちゃかめっちゃかされて気が削がれてしまいました……orz


 仕事はそんなには無いんですよ。ただ、トラブル? 営業さんが勝手に在庫を持って行って営業さんの言う在庫数と合わないとか、仕事が少量来たり急遽中止になったり、ちょみっと先だけれど大量発想の案件をこなさなきゃいけないとか。


 やる事多いのは良いんですが、なんだろ……。精神的によろしくない多さ、かな。んー、あれやんなきゃこれやんなきゃ、これやらないと怒られる、けど出来るだろうかそわそわと、気疲れを起こしてる、とか。


 色々と心配し過ぎなのかな?


 うん、なるようにしかならない!!



記憶喰狐(きおくいきつね)

  1. 2012/08/27(月) 08:00:00_
  2. 創作日記
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 そう、自分達は出逢ってはいけなかったのだ。


 否、『出逢っては』ではない。


 自らが、『現れなければよかった』のだ。


(そう、姿を見せなければよかったのだ……)


 暗く、湿った匂いの立ち込める森の中、彼女は一匹、悲しみに暮れる。

 出逢わなければよかった。彼の前に、姿を現さなければよかった。

 幾度も悔い、幾度も嘆いた。住み慣れた、この森の中で。


 だが、どうすることも出来なかったのだ。

 生きる為には、人前に姿を現さなければならない。それが、自分の性(さが)。

 そう、これは偶然が重なり、結果として招いてしまった『悲劇』。


(……忘れよう、彼の人の事は……)


 白銀の六尾に涙で濡れた顔を伏せ、彼女はただ、出逢ってしまった彼を忘却の彼方へと押しやった……。






 ◆◇◆





 一応、文学フリマで販売を考えている和風ファンタジー? なお話。



アリスな二人

  1. 2012/08/26(日) 13:01:11_
  2. 創作日記
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 何故、あの子でなければならなかったの?


 何故、わたくしではいけなかったの?


 闇が満ちる、豪華絢爛な部屋の中。


 彼女の問いかけだけが、ただ静かに、静かに谺(こだま)する。


 何故、なぜ、ナゼ……。




 鉄のような――生理的に嫌悪を覚える香りが立ち込める暗闇の中、答えのない問いかけだけが、寂しげに響き渡り、そして……。






 ◆◇◆






「……また、あの夢……」

 夏の強い日差しが、カーテン越しに差し込む自室で。むくりと起き上がり、彼女――有栖川咲久夜(ありすがわさくや)は、年老いた男性のように長髪の頭を無造作に掻いた。

 今朝も見た、見る不思議な夢。毎日とはいかないが、時折思い出したかのように見る夢は夢であって、それでいて違うもののように思えた。

 漫画やゲームの中でしか見ないような、昔の貴族が使っているような絢爛豪華な調度品が並べられた部屋。しかし、そこには明かりが一切なく、豪華さよりも薄気味悪さを醸し出していた。それをまるで助長するように、部屋に立ち込めるのは噎せ返る人から流れた命の香り。

 そんな、おぞましい部屋の中には一人の少女。咲久夜と大差ない、十五ほどの少女。支配する闇でよく見えないが、ぼんやりと光るウェーブがかった金の長髪に、何かを――立ち込める香りの元を彷彿させるかのように、真っ赤に染まったドレスを纏っていた。顔は見えない件の少女は、肘掛け付の豪華な椅子に座り、ただ只管に同じ言葉を繰り返していた。

「何故、あの子でなければならなかったの? か……」

 あの子とは、いったい誰なのだろうか? それ以前に、彼女はいったい何者なのだろうか……。

「……何だろう」

 少女の姿を思い出そうとして、首を捻る。彼女はそう、夢の住人。しかし、どこかで逢った事がある気がするのだ。

「……それだけ、漫画読んでたのかな……」

 や、自分はそこまで漫画やゲームにのめり込んでいない、はず。現実と夢の違いくらい、きちんとついている。

「……ま、いっか」

 深く考えていても時間の無駄、所詮夢は夢なのだ。そう結論付けて、咲久夜は黒髪を鬱陶しそうに書き上げながら、ベッドから降りた……。






 そう、それは夏が見せた、悲しくも優しい夢のお話……。






 ◆◇◆






 ピグカフェの改装をしていたら、何やら床がアリスチックな色になり、それから浮かんだ泡のような物語です。

 『あの子』とはいったい誰なのか。咲久夜と『アリス』の関係とは。そして、あの声の主は――。


 可能であれば、現在進めている和ゴスのお話と並行して書けたらいいなぁ、なんて思ったり。





 それにしても……。


 夢から始まる物語、自分多いなぁ……orz



早いものであと一週間……。

  1. 2012/08/25(土) 21:11:54_
  2. 創作日記
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 竜崎の夏休みが?


 いいえ、『COMITIA101』の開催が、です!!

 ちなみに竜崎の夏休みは明日までです。いーやーだーっ!!><


 なんだか、毎日があっとゆーまに過ぎてって、気が付けば「あ、イベント近いじゃん!?」なんてことが最近多々あります。これが歳を取るという事なんだろうか……orz


 さてさて、後程サイトにも情報をアップしますが、新刊のアナウンスをこちらでもいたします!!





 <COMITIA 101 情報>

 ・サークル名:満月堂出張所~♪

 ・サークルナンバー:て14b

 ・場所:東京ビッグサイト

 ・新刊その1

 【人魚に恋した魔法使い】

 竜崎流、もしも童話シリーズ第一弾!!

 原作では、人魚姫の声を奪った悪い魔女。それが、もしも人魚姫に恋をした純朴な少年だったら……?

 そんな『もしも』な要素を含んだ人魚姫が辿り着く終焉は、悲恋か、それとも――。


 【偽悪主義な狼さんと、赤ずきんだったおばあさん】

 竜崎流、もしも童話シリーズ第二弾!!

 原作では、赤ずきんをたぶらかしおばあさんを食べてしまった悪い狼。そんな彼が、もしも若かりし頃のおばあさんと恋仲になったら……。

 そんな『もしも』な要素を含んだ赤ずきんは、そしておばあさんは、無事に狼の毒牙から逃れられるのか――。


 両者ともブログ、小説家になろうにてサンプルを載せていますので、興味を持たれた方は是非!!



偽悪主義な狼さんと、赤ずきんだったおばあさん(コミティア101新刊サンプル2)

  1. 2012/08/24(金) 11:00:46_
  2. 創作日記
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 まあるい月が照らす、美しい夜。幼い頃よりもだいぶニンゲンの手が入り、育った馴染みの森は随分開拓された。住処を追われた獣達は、ほとんどが安住の地を求め旅立ったか、遭遇した人間に狩られたかして、数を減らしていった。

 そのどちらでもない――住処を捨てる事無く、ニンゲンに見付からぬようひっそりと生き延び、青年へと成長したヤクト。彼は今、黒い長髪を月明かりに靡かせ、森の奥へと足早に向かっていた。片手に、血のように赤いワインの瓶をぶら下げて。

(……ばあさん、もう寝ちまったか?)

 まぁ、それでもいいかとすぐに答えを出し、さくさくと草を踏み鳴らして進む事数分。物好きしか立ち入る事のない開けたそこには、可愛らしい赤い屋根の小屋が一つ。

 月明かりが降り注ぐテラスに、木製の車いすに乗った一人の老婆。ぼんやりと宵空を見上げる横顔に、笑みが浮かぶ。

「おいばあさん。んなとこにいたら風邪ひいちまうぜ?」

 軽口を叩けば、空を見上げていた顔は来訪者へ。ひらりと、赤いハンカチが巻かれた右手を振れば、皺だらけの顔をくしゃくしゃにしてあの大輪の如き笑みを刻んだ。

「おやおやワンちゃん。本当は私に会いたくて会いたくて仕方がなかったくせに」

「はっ。それはお前の方だろ? んな森の奥じゃ、孫だってそうそう遊びに来ねえだろうしな」

 互いに軽口を叩きあい、ヤクトは老婆の傍らへと立つ。そして、端に蔦と花の刺繍が施された赤い膝掛けの上に、ほれと土産を置いた。

「おやおや、まぁた悪さして持ってきたのかい? 相変わらずいけない子だねぇ」

「ばぁか、これは盗んだんじゃなくて拾ったんだよ。この前商人の前に出ていってやったら、あいつ腰抜かして商売道具全部置いてっちまったんだよ」

 だから拾ってやったんだよと胸を張るヤクトに、老婆は小さく笑う。

「全く、相変わらずねぇその性格は」

「あんたもな。その物怖じしねえ性格、ガキの頃から変わんねえ」

 クスクス、互いに笑い合う。そんな些細なやり取りも、様々な経験をし、熟した今だからこそ何よりも尊いと知っている。

「…………年を取ったわね、私も、貴方も」

「……嗚呼」

 子狼だったヤクトは成狼へ、少女だった彼女は老婆へ。残酷ながらも時は流れ、片割れは育ち、片割れは老いた。しかしそれでも二人の関係は、変わらない。

「……ワイン、飲むか?」

「ええ、いただくわ。折角ワンちゃんが持って来てくれたのだもの、一緒にいる時に飲まないなんてもったいないわ」

「……だから、犬じゃなくて狼だっつってんだろ」

 遠いあの日に言えなかった、幾度も口にした形だけの否定。それをわかっているからこそ、赤ずきんを被っていた少女だった老婆は、変わらぬ笑みを刻んだ――。

偽悪主義な狼さんと、赤ずきんだったおばあさん(コミティア101新刊サンプル1)

  1. 2012/08/23(木) 10:56:18_
  2. 創作日記
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 そう、それはまだ『彼』が()(ろう)だった頃――。







 ◆◇◆







(ちっ……、しくじったな……)

 赤い肉が剥き出しになった前足を、ヤクトは憎々しげに見つめる。同じく赤い舌で慰め程度に舐めるが、痛みは引くどころか更に悪化させてしまった。

 まだ明るい、森の中。狼が出るからと、近くの村のニンゲンは決して近付こうとはしない。それを知っているからこそ、つい数分前まで、彼は警戒する事もなくいつものように森を駆け回っていたのだ。

 だが不幸な事に、狼出没の噂を聞きつけた猟師が同時刻、森の中へと足を踏み入れていたのだ。

 かくして一匹と一人は出遭ってしまい、ヤクトは前足に銃弾を受けながらも命からがらやっとの事で猟師を撒き、今に至る。

(ちく……しょう…………っ)

 足を酷使した為、もう一歩も動けない。猟犬を連れていなかった事が不幸中の幸いだが、点々と続く血の跡に気付かれて見付かるのは時間の問題。

(どうすりゃ……いいんだよ…………っ)

 痛みと苛立ちが邪魔をし、上手く回らない思考に更に苛立ちが募る。だから、ヤクトは気付かなかったのだ……。

「あら?」

『っ!?』

 ガサリ。そばの藪が鳴り、一瞬遅れて人間が顔を出す。ひょこりと顔を出した血のように赤いずきんを被る少女に驚き、込み上げる恐怖を掻き消すように唸り声を絞り出す。あっちに行け、こっちに来るなと。

 だが、少女はまぁるい瞳をぱちくりと瞬かせた後、「ああ!!」と手を鳴らした。

「わかった迷子のワンちゃんだ!!」

『違う俺は狼だっ!!』

 ガウッ!! 一声吠える。刹那それが傷へと響き、クゥ……ンと惨めな悲鳴が鼻から零れる。獣の本能から反射的に手負いの前足を隠すが、その動きが逆に仇となり、少女の目に留まってしまった。

「……あれ? ワンちゃん怪我してるじゃないっ!?」

『だから……俺は狼だって言ってるだろ……っ』

 まだ抗議するが、人の言葉を話せぬ未熟なヤクトの言葉が少女に伝わる筈がない。どうしよう、何かないかしらと狼狽えながら、持っていたバスケットを漁り始める。これはダメ、これは使えないと中身を引っ掻き回す少女に、彼はせめてと低く唸って威嚇した。だが、目の前の犬(と少女が信じている狼)を助ける事で頭がいっぱいな彼女には、届かない。そして、

「あ、良いものあった!!」

『っ!?』

 突如上がった大声に、ビクリと身体が震える。一瞬遅れて更に低く唸るが、少女は臆する事なく取り出した赤い布をヤクトに見せた。

「じゃじゃーん!! 私のずきんとお揃いのハンカチなの、良いでしょ~♪」

 確かに、よくよく見てみれば少女のずきんと同じように、赤い布地の縁には小さく花や蔦の刺繍が施されていた。ヤクトにとってはどうでもいい事だったが。

 それで自分をどうするつもりだ。威嚇する彼に満面の笑みを浮かべながら、少女は「あっ!!」と彼の背後を指差した。

『っ!?』

 反射的に、そう屈辱的にも反射的に振り返ってしまった。一瞬遅れ、何やら前足に違和感を感じて向き直れば、傷口にハンカチが巻かれた負傷の前足。

 ぱちくりと、数回瞬きを繰り返す。何が起きたのかわからず、思わず呆然としてしまったヤクトに少女は笑った。

「ふふ、おーきゅーしょちって言うんだって。お母さんが前言ってたの」

 よしよしと、伸ばした手で頭を撫でる。ハッ、と我に返るが不思議と嫌悪等は感じない。

(いや……寧ろ落ち着く……?)

 ふうわりと、心に満ちる安堵感。落ち着きと戸惑いを感じていると、いつの間にか優しい手は離れていて。

「ふふ、元気になったみたいでよかった♪ でも、ちゃんと後で手当てしてもらうんだよ!!」

 バイバイ、ワンちゃん!! そう大輪の如き笑顔を残し、少女はとてとてと走って行った。

『……だから、犬じゃねえっつーの……』

 小さくなる赤いずきんに呟いた言葉は、不満いっぱい。

 けれど、口元に浮かぶ笑みは、紡がれた言の葉は、何処か楽しげな色を帯びていた――。







 それは、遠い遠い、昔の出来事……。























人魚に恋した、魔法使い(コミティア101新刊サンプル2)

  1. 2012/08/22(水) 14:58:59_
  2. 創作日記
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 それから、幾日か経ったある日――。




「えっ!? フィナル様が鬱ぎこまれてるって、一体どういう事ですか!?」

 突如城への要請があり、王に謁見したところフィナルの現状を告げられた。

「言葉の通りだ、ミーティス。先日のあの子の誕生日を境に、様子がおかしいのだ……。わしらも理由を問うたが、話そうとせん……」

 ほとほと困り、そなたを呼んだのだと、年老いた王は蓄えた髭を撫でながら、告げる。

「そなたなら、フィナルも口を開くやもしれん。頼めないだろうか?」

 拒否権は、恐らくない。仮にあったとしても、秘かとは言え思いを寄せている相手が鬱ぎ込んでいると言われては、選ぶ答えはたった一つ。

「……御意のままに、我等が王」




 満面の笑みで承諾の答えに頷く王に許可を得て。謁見の間からフィナルの自室の前へと訪れたミーティス。何処か、緊張した面持ちで……。

(そう言えば……初めてだった…………)

 フィナルの自室に訪れるのは、実はこれが初めて。いくら王に信頼され、彼女とも仲が良いとはいえ所詮は呪い師。住む世界が違うのだと線引きをして、必要以上に踏み込む事はしなかったのだ。故に、謁見の間とそこに通ずる廊下、そして何か祝い事が催された際に招かれるホール以外、足を踏み入れた事はない。

(どんな……部屋だろう……)

 思いを寄せるフィナルの自室。優しい香りに包まれた、美しい部屋だろうか。期待に胸を高鳴らせながら、コンコンとドアを叩いた。

「……はい」

 鈴を転がしたかのような、声。どくん、と高鳴る心音を無視し、声が裏返らぬよう平静を努めた。

「……私です、ミーティスです」

「あら、ミーティス!?」

 小さな驚愕と、喜びを含んだ声。近付く音が聞こえ、ガチャリと扉が開いた。

「どうしたのミーティス!? 遊びに来てくれたの!? わ、わ、とっても嬉しいわ!! 今お茶を用意させるから、さ、入って!!」

 キラキラと、海面から射し込む日の光のように眩しい笑顔。ぽーっとミーティスはそれに見とれていたが、「早く早く!!」と急かす声に我に帰り、おずおずと入室した。

「し、失礼します……」

 促されて足を踏み入れた部屋は、予想通り綺麗な調度品に囲まれた、美しい部屋。使用人が毎日掃除を行っているのであろう、床や棚には塵一つない。

 寝室は別の部屋に宛がわれているのであろう。ベッドのない、寝室と自室が共同になっている部屋よりも遥かに広いその中央。可愛らしい白い貝で造られたイスの一つに、フィナルは座って手招きした。テーブルを挟んだ空席に、ミーティスは腰を降ろす。

 彼の訪問がとても嬉しいのだろう。ニコニコと笑みを浮かべながら、フィナル。

「ふふ、まさかミーティスが遊びに来てくれる日が来るなんて!! 今日はどういったご用事? あ、用事がなきゃ来てはいけないという訳ではない……」

「最近、気を伏せられていると、王から拝聴しました」

 刹那、フィナルの顔が翳る。「……そう」と一言だけ溢し、俯いてしまった。

「フィナル様、何かあったのであればお話し下さい。王もお姉様方も、とても心配されていますよ?」

 勿論、自分も。その言葉は胸の奥に仕舞い込んだ。

 フィナルは、何も語らない。ただ俯き、尾に置いた拳を、じっと見詰めるだけ。

「……無理ならば、話されなくても」

「お父様達には、内緒にしてくれる?」

 突如、切り出された言葉。怯えたような上目遣いに、どくり、と心臓が高鳴る。

「は、はいっ!! 約束致します!!」

 上目遣い、そして『姫と自分だけの秘密』という毒に惑わされ、反射的に頷いてしまう。はっと正気に戻った時には既に遅く、「良かったぁ♪」と安堵の息。そして、頬を朱に染めながら潜めた声で、「あのね……」と告げられた。




「あのね、ミーティス……私、人間の男性に恋してしまったの」




 言葉の意味が、理解出来なかった。

 意味が理解出来ると、次は脳が意味を否定し始めた。

 違う、違う。自分ノ姫ガ、人間ノ男ニ心奪ワレルナンテ……。

 酷い、耳鳴りがする。頭が真っ白になるとは、恐らくこの事を言うのだろう。茫然自失のミーティスを他所に、フィナルは若干照れを交えながらその『出逢い』を話した。

 あの誕生日の夜、幾度も訪れた陸地へと彼女は赴いた。

 フィナルが顔を出した海面では、偶然にも人間の『船』という箱が浮かび、何やら祝い事を行っていた。

 元より好奇心旺盛な事もあり、彼女は縁の隙間まで登り、こっそり甲板の光景を覗き込んだ。そこで、満月の光に照らされて笑う『彼』の姿を見て、一目で恋に落ちたらしい。

 しかし、時に神は残酷で。穏やかだった海は一瞬に大時化へと変化。船は簡単に波に飲まれ、人間達は全員海に投げ出されてしまった。

 慌てたフィナルは、藻屑となった船の破片に包まれながら沈む彼を見付け、気付かれないように陸まで運んだのだという。

 だが、その日を境にあの人間の事が忘れられず、叶わぬ恋に鬱ぎ込んでいたそうだ。

「それで、ね。ミーティス……」

 真剣な、眼差しと言の葉。嫌だ、その先の願いを告げないでと、心が悲鳴を上げる。

 だが、そんな彼の気持ちを露知らず、フィナルは残酷な願いを告げた――。

「私を、人間にして? ミーティス」

 呼吸が、止まる。

 耳鳴りが、酷さを増す。

 息が上手く出来なくて、目を見開きながら、何度も呼吸を繰り返す。

 この美しい姫が、醜い人間になる。自分ではない者に心を奪われ、自分の手の届かない場所に行ってしまう……。

 嫌だ、嫌だと、耳鳴りに混じり声がする。

「……ミーティス?」

 不安げな声に、我に帰った。いつの間にか俯いていた顔を上げれば、心配げなフィナルの表情。

「大丈夫……? 凄く、顔色が良くないけれど……」

「あ、いえ……大丈夫…………です……。しかし姫、自分は」

「わかってる。人間になるって事が、どんなに大変なのか。悩んで、悩んで……それで決めた事なの」

 遮り、伝えられた言葉。それに、揺らぎはない。何処までも固く、真剣。

 一つ、ミーティスは溜め息。

「……人間は、人魚よりも遥かに短命ですよ?」

「わかってるわ」

「……人になっても……結ばれるとは限りませんよ……」

「……ええ」

「……二度と、人魚には戻れないかもしれないのですよ?」

「……覚悟の上よ」

 変わらない、意思。どう足掻いても、この姫の気持ちを変える事は出来ない。

 深々と、悲しみの溜め息を吐く。




「ならば御意のままに、我が姫――」



 ◆◇◆




 これから、皆が知る物語のように声を失い、人へと変じるでしょう。

 この後、フィナルが無事に王子の心を射止めるのか。

 それとも、物語通りに思い叶う事無く泡と変じるのか。

 そして、一途に恋をするミーティスの恋路が、どのような末路を辿るのか……。


 それは、次の月が満ちる晩に――。






















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プロフィール

竜崎飛鳥

Author:竜崎飛鳥
【登場人物紹介】

<夢香>
夢香「はいはーい、夢幻喫茶のオーナーにして飛鳥さんの暇つぶしに巻き込まれている可哀想な少女、その名は夢香(ゆめか)。身長、体重、スリーサイズはヒ・ミ・ツ☆」
凛「真面目に自己紹介してください;」

<大槻凛>
凛「えーっと、大槻凛(おおつきりん)、d「現在花の大学生を謳歌なう♪ 絶賛彼氏募集中の、凄腕イケメンハンター女子でーす☆」って何勝手な自己紹介……じゃなかった、他己紹介してるんですか夢香さん!!」
夢香「えー、だって凛さんそれくらい盛らないと特にあげるところがないくらい平々凡々な大学生じゃーん」
凛「平々凡々で問題ありませんっ!!!」

<竜崎飛鳥>
夢香「(出されたカンペを見ながら)えー、アタシが紹介するのー? 自分でやりなさいよ自分でー」
凛「ま、まぁまぁ夢香さん; これもお仕事ですから;」
夢香「しょーがないなー。えーっと、

『一時期ライトノベル作家を目指してがむしゃらに走っていた元・小説の卵、現・駆け出し主婦。しかし相変わらずオタク兼腐女子気質の為、このブログに顔を出す時もそれ系のネタが多くなるかもしれません。苦手な方は何も見なかったことにして回れ右して戻られることをお勧めします、お互いの為にも。
 また気紛れ旅人を名乗っていた時期同様、その気紛れさも健在の為、突然長期間更新しなくなることもあります。その時はご了承ください』

 だってさー」

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